針ノ木雪渓BC
就職
四月で大学院を退学して社会人になった。社会人になると、休日に山に行かないというのはなんだか損な気がしてしまって、GWの混んでいる時期なのは重々承知であるのにも関わらず家を出てしまう。
春のスキーはとても楽しい。新雪の深い所でもがくことも無いし、山に吹きつける風が運ぶ寒さに凍えて震えることも無い。夏空に向かって高みへ移ろう空に伸びる道をただひたすら攀じ登る。
沢は山の背骨に近づくにつれて傾斜を増していく。スキーで登れなくもない角度だが、歩いた方が早いと判断してシートラ。三歩進んでは息を整え、地道に進んでいくのだ。いくら進んでも空と地面の割合はちっとも変わらないけれど、もうすぐ滑れるぞ!
針ノ木峠
稜線に辿りつくと、多くの人で賑わっていた。針ノ木岳に続く稜線は急峻で、前爪アイゼンが無いと不安な感じ。今日は滑りにきたので、ピークハントは諦めて大人しく針ノ木峠からの滑走を楽しむことにした。
テイクオフ
雪が緩むのを待って、しばし休憩。シールを貼って、準備はできたかな。切れ落ちる渓へドロップイン。初めは少し緊張するくらいの角度だったけど、雪は緩んでスキーの圧力を、しっかりと受け止めてくれるのでターンも快適。あっという間に苦労して登ったパートを駆けて、デブリーランドに突入した。デブリとは雪の塊のことであるが、ルートを選べばコロコロと転がるその上をスキーで滑っていくことができる。これが意外と楽しく、春スキーの醍醐味だ。何時間も掛けて登った斜面をほんの数十分で降りて、下山。板納めにしても良いくらい満足したけど、春スキーのシーズンはまだまだ続く。
画像はありません